ふるさと納税の控除は、会社がやってくれる年末調整では受けられません。給与所得者は、1年間の寄付先が5自治体以内で、ほかに確定申告をしないならワンストップ特例の申請、それ以外は確定申告で手続きします。
年末調整の計算に、寄附金控除は入っていない
年末調整は、毎月の給与から天引きされた所得税の合計と、1年間に納めるべき所得税との差額を精算する手続きです(国税庁No.2665)。精算に使える控除は、所得税法第190条が定めています。社会保険料や生命保険料、扶養控除、配偶者控除、基礎控除などが並ぶ一方で、寄附金控除は入っていません(e-Gov法令検索)。医療費控除と雑損控除も同じ扱いです。
では、ふるさと納税の控除はどこで受けるのか。国税庁No.1155は、ふるさと納税の控除を受けるには確定申告が必要と説明しています。例外が、確定申告が不要な給与所得者で寄付先が5団体以内の場合です。寄付先に申請すれば控除が受けられ、これがワンストップ特例です。
会社から配られる年末調整の書類に、ふるさと納税を書く必要はありません。計算に入らない控除なので、寄附金受領証明書(自治体から届く寄付の証明書)も会社には出さず、自分で保管します。生命保険料の控除証明書を添えるのと同じ感覚で提出しようとして、手が止まりやすいところです。
年末調整を受けたから確定申告はできない、ということもありません。国税庁No.2030は、給与所得者が還付申告(払いすぎた税金を取り戻す申告)をできる例に寄附金控除を挙げています。
どちらも年末調整とは別に、自分で動く手続きです。年末調整のあとに会社から渡される源泉徴収票には、ふるさと納税の控除はまだ入っていません。
さらに紛らわしいのが、今年の12月です。2026年分の年末調整には所得税の基礎控除の引上げが反映されます(国税庁)。12月の給与で所得税が戻る人がいても、それはふるさと納税とは関係のないお金です。
戻り方が違う:ワンストップは翌年度の住民税から全額
ふるさと納税分がいつ、どの税金から戻るかは、手続きで変わります。
ワンストップ特例を使うと、所得税からの控除は行われません。その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から引かれます(総務省)。年末調整のように「還付金が口座に入る」場面はなく、住民税の通知書に控除額が出ることで確認します。
確定申告なら、所得税の控除(還付)と、翌年度の住民税からの控除に分かれます。上限の範囲内なら、戻る合計はどちらの手続きでも寄付額から2,000円を引いた額です。
状況別に選ぶ:確定申告の理由が1つでもあれば確定申告
選び方は一つの問いにまとまります。ふるさと納税以外に、確定申告か住民税の申告をする理由が今年ありますか。ひとつでもあれば確定申告、まったくなくて寄付先が5自治体以内ならワンストップです。
| あなたの状況 | 手続き |
|---|---|
| 給与だけで年末調整を受け、寄付先が5自治体以内 | ワンストップ特例 |
| 寄付先が6自治体以上 | 確定申告 |
| 医療費控除や雑損控除を受ける | 確定申告 |
| 住宅ローン控除の初年度 | 確定申告 |
| 副業などで住民税の申告が要る | 確定申告 |
| 年の途中で退職して年末調整を受けていない | 確定申告 |
| 給与の年間収入が2,000万円を超える | 確定申告 |
| ワンストップの期限に間に合わなかった | 確定申告(還付申告) |
医療費控除と雑損控除、6自治体以上は、No.1155が確定申告を求めるケースとして挙げています。住宅ローン控除の初年度と年の途中の退職は、No.2030が、給与所得者が還付申告できる例に挙げています。給与の年間収入2,000万円超はNo.1900で確定申告が必要とされる人です。
確定申告にまわる理由ごとに、くわしい記事があります。医療費はふるさと納税と医療費控除の併用、住宅ローン控除の初年度は住宅ローン控除との併用、年の途中で退職した人は退職した年のふるさと納税、自営業の人は自営業の確定申告です。
数え間違えやすいのが「5自治体」です。数えるのは寄付の回数ではなく自治体の数で、同じ自治体に3回寄付しても1つと数えます。
副業の行は、見落としやすいところです。所得税の確定申告が要らない金額でも、住民税の申告が要る場合があります。大阪市のワンストップ特例の案内は、対象を「確定申告(住民税の申告も含む。)を行うことなく」控除を受ける人としています。20万円以下の副業でも使えなくなる理由は副業がある会社員のふるさと納税で説明しています。
確定申告に回ると、ワンストップで出した分も書き直す
ワンストップの申請書を先に出していても、確定申告をすればその申請は無効になります。国税庁No.1155は、申請をした分も含めて寄附金控除額を計算するよう求めています。
たとえば、3自治体にワンストップの申請書を出したあと、年末に医療費がかさんで確定申告をすることになったとします。申告書の寄附金控除の欄には、3自治体すべての寄付額を書きます。書き漏らした自治体の分は、控除されません。
申請書を出したことは忘れて、「今年は確定申告をするか」だけで判断するのが近道です。申請後に確定申告が必要になったときの書き方は、ワンストップ後の確定申告で控除が消える?にまとめています。
どちらでも選べる人は、手間と寄付先の数で決める
確定申告をする理由がなく、寄付先が5自治体以内の人は、どちらを使ってもかまいません。違いが出るのは手間です。
ワンストップは、寄付ごとに申請書(またはオンライン申請)を出す方式です。同じ自治体に3回寄付すれば、自治体の数は1つでも申請は3回分です。マイナンバーと本人確認の書類を添える手間はありますが、申告書を作る必要はありません。寄付の件数が増えるほど申請の回数も増えます。確定申告は、自治体が6つ以上でも一回の申告にまとめられます。その代わり、寄付先すべての寄附金受領証明書や寄付の一覧を集めて、申告書に入力する作業が発生します。
寄付先が1〜2自治体で、ほかに申告が要らない年はワンストップ。複数のサイトで寄付して件数が多い年や、医療費がかさんだ年は確定申告。そう分けると迷いにくくなります。
