2つの数字の見方
2026年分は所得税の基礎控除が最大104万円に上がりました(国税庁 No.1199 基礎控除)。一方、上限を決める住民税の基礎控除は43万円のままです。そのため多くの人の上限は変わらず、基礎控除が増えたことで所得税率が1段下がる年収帯だけ、上限が下がります。
上段の大きい数字は、総務省の目安表と同じ前提でこの改正だけを反映した当サイトの試算です。下段は総務省の目安表の値で、基礎控除が48万円だった頃の税制が前提です。2026年10月時点で、総務省は2026年分の新しい表を出していません。全308マスのうち36マスで2026年分の方が1,000〜50,000円低く、残りは同じ金額です。
2つが違うときは、低い方を目安にしてください。どの年収帯でどれだけ下がるかは「基礎控除の引き上げでふるさと納税の上限はどう変わる?」にまとめています。
年収・家族構成別の早見表(2026年分)
左が2026年分の試算、かっこ内が総務省の目安表の値です(同じ金額のマスは1つだけ表示)。
| 年収 | 独身・共働き | 夫婦(配偶者の収入なし) | 夫婦+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生・高校生) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 11,000円 | 6,000円 (7,000円) |
| 400万円 | 42,000円 | 33,000円 | 25,000円 | 21,000円 |
| 500万円 | 57,000円 (61,000円) | 49,000円 | 40,000円 | 36,000円 |
| 600万円 | 77,000円 | 69,000円 | 57,000円 (60,000円) | 54,000円 (57,000円) |
| 650万円 | 85,000円 (97,000円) | 77,000円 | 68,000円 | 62,000円 (65,000円) |
| 700万円 | 108,000円 | 86,000円 | 78,000円 | 75,000円 |
| 800万円 | 129,000円 | 120,000円 | 110,000円 | 93,000円 (107,000円) |
| 900万円 | 152,000円 | 143,000円 | 132,000円 | 128,000円 |
| 1,000万円 | 180,000円 | 171,000円 | 157,000円 | 153,000円 |
| 1,200万円 | 247,000円 | 247,000円 | 229,000円 | 209,000円 (219,000円) |
| 1,300万円 | 276,000円 (326,000円) | 276,000円 (326,000円) | 261,000円 | 248,000円 |
| 1,500万円 | 395,000円 | 395,000円 | 377,000円 | 361,000円 |
| 2,000万円 | 569,000円 | 569,000円 | 552,000円 | 536,000円 |
※給与収入のみ、社会保険料は給与収入の15%など総務省の目安表と同じ前提で計算(1,000万円超は総務省の表の値から逆算)。「共働き」は配偶者控除を受けていない(配偶者の給与収入が201万円超の)ケースで、独身と同じ額です。中学生以下の子は上限に影響しません。
上限の計算式と、年収500万円・独身の計算例
上限はおおよそ次の式で決まります。分子の住民税所得割額が、上限の中身のほとんどです。
上限 ≒ 住民税所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税率 × 1.021)+ 2,000円
年収500万円・独身で、上の早見表の「57,000円(61,000円)」がどう出るかを追ってみます。
- 給与所得:500万円 − 給与所得控除144万円 = 356万円
- 社会保険料:500万円 × 15% = 75万円(総務省の表と同じ仮定)
- 住民税の課税所得:356万円 − 75万円 − 基礎控除43万円 = 238万円。所得割は 238万円 × 10% − 調整控除2,500円 = 23.55万円
- 所得税の課税所得:2026年分は 356万円 − 75万円 − 基礎控除104万円 = 177万円で、税率5%。基礎控除48万円の頃なら233万円で、税率10%
- 上限:23.55万円 × 20% = 47,100円。2026年分は 47,100円 ÷(90% − 5.105%)+ 2,000円 ≒ 57,480円で、千円未満を切り捨てて57,000円。基礎控除48万円の頃は 47,100円 ÷(90% − 10.21%)+ 2,000円 ≒ 61,030円で、61,000円
住民税の所得割は同じなのに、所得税率が10%から5%に下がったことで分母が大きくなり、上限が約4,000円下がっています。所得税そのものは減るので手取りは増える方向ですが、寄付したときに所得税から戻る割合が小さくなるぶん、住民税側の枠(所得割の2割)に早く届くためです。「住民税所得割の2割前後が上限の中心」と覚えておくと、ざっくり当たりが付きます。
楽天などのシミュレーターと数字が違う理由
同じ年収でも、シミュレーターごとに数千円ずれるのは珍しくありません。主な理由は、社会保険料の見積もり方(総務省の表は給与収入の15%と仮定)、どの年分の税制で計算しているか、千円未満の端数や年収の刻みの扱いの3つです。どれかが間違いというより、前提が違うと考えてください。源泉徴収票の「支払金額」「社会保険料等の金額」などを入れられる詳細なシミュレーターほど、あなた個人の実際に近くなります。
実際の上限に近づける5つの手順
1. 源泉徴収票を手元に置く
いちばん確かな材料は、年末調整のあとに受け取る源泉徴収票です。「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の4つを確認します。2026年分は新しい基礎控除が12月の年末調整で反映されます。
2. 今年の年収を見込む
去年と同じとは限りません。昇給、残業代の増減、副業、配偶者の働き方の変化を考えます。ボーナスが決まる前なら、見込み年収の5〜10%少なめで計算すると安全です。
3. ほかの控除を入れる
生命保険料控除(最大12万円)、地震保険料控除(最大5万円)、iDeCo、小規模企業共済、医療費控除は上限を下げます。月23,000円のiDeCoなら、所得税率5〜20%の人で上限が約6,500〜7,900円下がります。
4. 住宅ローン控除と確定申告の組み合わせを確認する
住宅ローン控除の1年目は確定申告が必要で、ワンストップ特例は使えません。確定申告でふるさと納税の控除を受けると、所得税の枠を住宅ローン控除と取り合います。住宅ローン控除が所得税から引ききれず、住民税側の上限(2022年以降の入居なら最高97,500円)にもかかると、自己負担が2,000円を超えることがあります。
5. 出た金額の80〜90%で寄付する
上限が6万円と出たら、寄付は4.8〜5.4万円までにします。6,000〜12,000円の余裕があれば、年収の見込み違いや控除の入れ忘れがあっても上限を超えにくくなります。
よくある入力ミス
- 年収欄に「給与所得控除後の金額」を入れる:年収欄には源泉徴収票の「支払金額」(いちばん大きい数字)を入れます。控除後の金額を入れると上限が低く出ます。
- 世帯年収を入れる:寄付する本人の年収だけを入れます。夫500万円・妻200万円の世帯で700万円と入れると、上限が大きく出すぎます。
- 冬のボーナスを入れ忘れる:夏のボーナスまでの年収で計算すると、上限を低く見積もります。年末調整後の年収でもう一度確かめます。
- 退職金を年収に足す:退職金は別に計算される退職所得なので、上限の計算には入れません。
- 配偶者控除の判定:配偶者の給与収入が136万円を超えると(2026年分の所得税。2025年分は123万円)、配偶者控除ではなく配偶者特別控除になり、上限の目安も変わります。
- 年の途中で結婚・離婚した:家族構成は12月31日の時点で判定します。12月に結婚した人は「配偶者あり」で計算します。
- 源泉徴収ありの特定口座の株の利益を足す:申告しなければ上限に影響しません。損益通算のために申告すると合計所得に入り、上限が変わります。
1年の確認スケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1月 | 前年の源泉徴収票で、去年の上限を確かめる |
| 3〜4月 | 今年の見込み年収で1回目の計算 |
| 6月 | 住民税の決定通知書で、前年の寄付が控除されたかを確かめる |
| 8〜10月 | 夏のボーナスと残業代を反映して計算し直す |
| 12月 | 年末調整後の数字で最終確認し、上限の80〜90%で寄付する |
よくある質問
上の数字(2026年分)と下の数字(総務省の目安表)、どちらを使えばいい?
2つが違うときは低い方を目安にしてください。上限を超えた分は控除されず、ただの寄付になります。低い方に合わせて損をするのは、余った枠の分だけです。
楽天ふるさと納税のシミュレーターと数字が違うのはなぜ?
社会保険料の見積もり方、どの年分の税制で計算しているか、端数の扱いがシミュレーターごとに違うためです。源泉徴収票の数字を入れられる詳細なシミュレーターほど、あなた個人の実際に近くなります。
シミュレーターで出た金額をそのまま信じていい?
概算なので、上限の80〜90%で寄付するのが安全です。ボーナスや残業代で年収は動くので、年末調整後の源泉徴収票でもう一度確かめるのがおすすめです。上限を超えた分は控除されない普通の寄付になります。
確定申告とワンストップ特例で控除額に差は出る?
合計の控除額はほぼ同じで、引かれる税金の配分が違います。確定申告は所得税の還付と住民税の減額の組み合わせ、ワンストップ特例は住民税だけで控除されます。
副業所得や株式の譲渡所得がある場合は?
副業所得・配当所得・株式の譲渡所得(源泉徴収ありの特定口座で申告しないものを除く)は上限に影響します。給与だけの計算とは変わるので、所得を入力できる詳細なシミュレーターで計算してください。
産休・育休中で年収が下がる年はどうする?
出産手当金や育児休業給付金は非課税なので、年収には含めません。給与が支払われた分だけで計算します。育休が長い年は上限が大きく下がるので、無理に寄付せず復職後に回すのも一つの方法です。
年の途中で転職・退職した場合は?
前の会社と今の会社の給与を合算した1年分で計算します。年末に無職の場合や退職後に無収入の期間がある場合は、確定申告で計算し直すことになります。前職の源泉徴収票は届くのが遅れがちなので、12月後半にもう一度確認してください。