ふるさと納税をe-Taxで申告するときの失敗は、操作の難しさより「寄付の入れ漏れ」と「同じ寄付の二重登録」で起きます。e-Taxは入力された寄付をもとに税額を計算するだけで、あなたがどこにいくら寄付したかまでは知りません。この記事では2026年分(令和8年分)の申告に向けて、寄付をe-Taxに正しく入れる手順と、送信前に全寄付額を照合する方法をまとめました。
2026年分(令和8年分)の申告で変わること
申告期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)です。払いすぎた税金を戻すだけの還付申告なら、2月15日以前でも出せます(国税庁「申告と納税」)。
2026年分からは、所得税の基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。基礎控除は本人の合計所得金額で額が変わります(国税庁 No.1199)。
| 合計所得金額 | 2025年分 | 2026年分 |
|---|---|---|
| 489万円以下 | 95万〜68万円(3段階) | 104万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 |
2,350万円を超えると段階的に減り、2,500万円超は0円です。給与所得控除の最低額も65万円から74万円に上がりました(国税庁 No.1800)。改正は2026年12月1日の施行なので、会社員なら12月の年末調整で反映されます。
ここで誤解しやすい点があります。基礎控除104万円は「誰でも所得から差し引ける額」で、ふるさと納税が104万円まで控除されるという意味ではありません。寄付の上限は所得や家族構成で人ごとに違うので、控除上限シミュレーターで確認してください。
e-Taxに任せる部分と、自分で確かめる部分
基礎控除の額、給与所得、所得税額や還付額は、作成コーナーが入力内容から自動で計算します。新しい控除額を自分で調べて書き込む必要はありません。
自分で確かめるのは、計算の材料のほうです。「令和8年分」の画面で作っているか、源泉徴収票の数字が正しいか、そして寄付がもれなく一度ずつ入っているか。最後の1つは、次の章以降で詳しく扱います。
確定申告が必要かを30秒で判定する
次のどれかに当てはまる人は、ワンストップ特例ではなく確定申告で寄付を申告します。
| 当てはまる条件 | 理由 |
|---|---|
| 寄付先が6自治体以上 | ワンストップ特例は5自治体まで |
| 医療費控除・住宅ローン控除1年目を受ける | どちらも確定申告が必要 |
| ワンストップ特例の申請が間に合わなかった | その分の控除は確定申告でしか受けられない |
| 給与収入2,000万円超・副業所得20万円超・個人事業主など | もともと確定申告の対象 |
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請はすべて無効になります。申請済みの寄付も含めて全部を入力し直してください。入れ忘れたまま提出した場合の直し方は、ワンストップ後の確定申告で控除が消える落とし穴で解説しています。
e-Taxでふるさと納税を入力する手順(PC・スマホ共通)
PCとスマホで違うのは、マイナンバーカードの読み取り方と源泉徴収票の入れ方くらいです。流れは同じなので、まとめて説明します。
1. 準備する マイナンバーカードと、利用者証明用(数字4桁)・署名用(英数字6〜16桁)の2つのパスワードを用意します。PCならICカードリーダーか、カードを読み取れるスマホが必要です。源泉徴収票と、寄付の証明書(紙またはXML)もそろえておきます。
2. 作成コーナーで「令和8年分」を選ぶ 確定申告書等作成コーナーから所得税の申告書を作り、マイナンバーカード方式でログインします。マイナポータル連携で証明書を自動取得したい人は、先にマイナポータル側で各ポータルとの連携を済ませておきます。
3. 源泉徴収票を入力する スマホなら作成コーナーの機能で源泉徴収票を撮影すると、該当欄に自動入力されます。読み取り後は、支払金額・源泉徴収税額・社会保険料等の金額を紙と見比べてください。
4. 「寄附金控除」に寄付を入れる 入れ方は3通りあり、混ぜて使えます。
- マイナポータル連携で証明書データを自動取得する
- ポータルからダウンロードしたXMLファイルを読み込む
- 紙の証明書を見て、寄付先・寄付日・金額を手入力する
どの方法でも、1つの寄付を入れるのは1回だけです。次の章で、漏れと重複が起きやすい組み合わせを説明します。
5. 照合してから送信する 本人名義の還付口座を入力し、送信前チェック(後述)を済ませてから送信します。送信後は受信通知と申告書の控えを保存しておきます。還付は、e-Taxならおおむね3週間程度が目安です。
XML・マイナポータル連携の取りこぼしと二重登録を防ぐ
ふるさと納税の証明書には2種類あります。ポータルが発行する「寄附金控除に関する証明書」は、そのポータル経由の寄付を1年分まとめたもの。自治体が発行する「寄附金受領証明書」は、寄付1件ごとの証明です。e-Taxの入力ミスは、ほぼこの2種類の重なり方で起きます(国税庁「ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について」)。
取りこぼしが起きる3つの場面
1つ目は、複数のポータルを使ったのに1社分のXMLしか読み込まないケースです。楽天のXMLには楽天経由の寄付しか入っていないので、さとふるやふるなびの分は別に取得します。自治体へ直接寄付した分は、紙の証明書から手入力します。
2つ目は、マイナポータル連携の設定漏れです。ポータルによって証明書を届ける民間サービスが違い、「e-私書箱」を使う会社と「民間送達・e-Tax連携サービス」を使う会社があります(国税庁の発行主体一覧)。片方しか連携していなければ、もう片方の寄付は自動では入りません。
3つ目は楽天を使っている人に多いケースです。楽天ふるさと納税は2025年1月に連携先が民間送達・e-Tax連携サービスに変わりました。それ以前にe-私書箱で連携していた人は、連携の手続きをやり直す必要があります。XMLを直接取りたい場合は、楽天ふるさと納税の証明書データの取得手順に沿ってダウンロードします。
二重登録が起きる2つの場面
ポータルと寄付先の自治体が、どちらもマイナポータル連携に対応している場合があります。すると同じ寄付が2つの証明書に入り、作成コーナーはその証明書データを自動入力できません。国税庁の案内では、自治体側の発行方法を「特定事業者分の寄附を含まない」に変えるか(反映まで30分程度)、重複したデータを削除して重複していない寄付だけを手入力するよう求めています(作成コーナー よくある質問)。
もう1つは手作業で起きます。XMLで読み込んだ寄付を、手元の紙の証明書を見て念のため手入力すると、同じ寄付が2回計上されます。手入力するのは、XMLにも連携データにも入っていない寄付だけです。
