ふるさと納税の限度額がサイトごとに違うのは、どれかが間違っているからではなく、入力する数字と計算の前提が違うからです。迷ったら、源泉徴収票の数字を入れた詳細版の結果を基準にして、その8割までを寄付に回してください。
同じ「年収500万円・独身」でも、出てくる数字はこれだけ散らばります。
| 入力・前提 | 限度額 |
|---|---|
| 総務省の目安表(社会保険料15%、2024年分までの税制) | 61,000円 |
| 2026年分の税制で計算 | 57,000円 |
| 手取り(約390万円)を年収として入力 | 総務省の表で年収375〜400万円の欄に近い値まで下がる |
2行目は基礎控除の記事で示した2026年分の目安です。
💡 先に自分の数字を出したいなら、控除上限シミュレーターが早いです。2026年分の目安と総務省の目安表の値を並べて表示します。
数字が割れる原因と、ずれ幅の目安
上の行ほど、ずれ幅が大きくなりがちです。
| 原因 | 何が違うか | ずれ幅の目安 |
|---|---|---|
| 年収の入れ方 | 前年か今年か、手取りか額面か | 数千円〜2万円以上 |
| 簡易版か詳細版か | 年収と家族構成だけか、源泉徴収票の金額まで入れるか | 数千円〜 |
| 社会保険料の仮定 | 給与収入の一律15%か、実額か | 保険料が多い人ほど低く出る |
| どの年分の税制か | 所得税の基礎控除の引き上げを反映しているか | 0円か1,000〜50,000円 |
| 家族構成・控除の区分 | 共働きの線引き、他の控除の有無 | 数千円〜 |
簡易版と詳細版:入力する項目の数が違う
楽天ふるさと納税には、かんたんシミュレーターと詳細版シミュレーターの2種類があります(2026年10月11日確認)。
かんたんのほうに入れるのは、年収、独身か既婚か、配偶者控除の有無、扶養家族の数です。詳細版は、源泉徴収票の「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除額の合計額」を入れ、そのうえで給与以外の所得や、社会保険・生命保険などの控除額まで細かく聞いてきます。
社会保険料や扶養の控除額は、年収が同じでも人によって違います。詳細版はその違いを拾えるぶん個人の数字に近づき、かんたん版は早く目安を知りたいときに向きます。
社会保険料の仮定:総務省の表は一律15%
総務省の目安表は、社会保険料控除額を給与収入の15%と仮定しています。表は、住宅ローン控除や医療費控除などを受けていない給与所得者のケースです。
実際の保険料の率は、健康保険の種類や、40歳以上かどうか(介護保険料が加わります)で変わります。社会保険料が増えると課税される所得が減り、限度額も下がります。逆に保険料が15%より少ない人は、表より高く出ます。年収だけで計算する方式は保険料を一律の率で見積もるしかなく、実額を入れられる詳細版ならこのずれを小さくできます。
どの年分の税制か:2026年分は基礎控除が上がる
所得税の基礎控除は、令和8年分(2026年分)から最大104万円に上がります。令和8年12月1日施行で、会社員は年末調整で反映されます(国税庁)。104万円が適用されるのは合計所得489万円以下の人で、年収そのものの線ではありません。住民税の基礎控除は43万円のままなので、ほとんどの人の限度額は変わりません。ただし、所得税率が1段下がる年収帯では限度額が1,000〜50,000円下がります。
年収500万円の独身で、総務省の表が61,000円、2026年分の試算が57,000円なのはこのためです。くわしい年収帯は基礎控除引き上げの記事にまとめています。
楽天のシミュレーターは「令和8年6月現在の制度に基づいて試算」と明記し、2026年9月1日には令和8年度税制改正に合わせた改修を行ったと案内しています(2026年10月11日確認)。シミュレーターが現行の税制に更新されているかは、画面下の注記や更新履歴で確かめられます。総務省の表のように2024年分までの税制のまま作られた早見表は、2026年分では高めに出る年収帯があります。
年収の入れ方:前年・今年・手取りで結果が変わる
手取りを入れる誤り。 求められているのは、税金や社会保険料を引く前の年収です。年収500万円の独身会社員の場合、総務省と同じ前提(社会保険料15%)で所得税と住民税を引くと、手取りは約390万円になります。この390万円を年収として入れると、総務省の表では年収375万〜400万円の欄(独身で38,000〜42,000円)を見ることになり、本来の61,000円より約2万円少なく、枠の3分の1近くを使い残します。
前年の年収を入れる誤り。 前年の年収が500万円、今年は昇給と賞与の増加で550万円になりそうなら、総務省の表では61,000円と69,000円で、差は8,000円です。逆に今年の年収が下がるのに前年の数字を入れると、上限を超えます。550万円から500万円に下がった人が前年の数字で寄付すると、8,000円ぶんは控除されず、自己負担は約10,000円(2,000円+8,000円)になります。
限度額を決める住民税は、寄付した年の所得に対して翌年度に課税されます。寄付をする時点では住民税所得割額や所得税率が確定していないため、上限の計算はあくまで目安になると、練馬区も案内しています。
家族構成と控除の区分
「共働き」の線引きもサイトによって違います。楽天の目安表のページには、共働きは配偶者の給与収入が201万円以上と書かれていますが、同じ楽天のかんたんシミュレーターの画面は207万円以上と表示していました(2026年10月11日確認)。制度の線は、令和8年分の配偶者特別控除の対象が配偶者の合計所得133万円以下で(国税庁No.1195)、令和8年分は給与所得控除が収入220万円まで一律74万円になるので(国税庁No.1410)、給与収入に直すと約207万円です。201万円は2025年分の計算式で出した線なので、2026年分はシミュレーター画面の207万円が制度に合っています。配偶者の収入がこの付近にある場合は、どちらの区分になるかで数千円変わることがあります。
中学生以下の子どもは、控除額の計算では影響しないので、人数に入れなくてかまいません。16〜18歳の子と19〜22歳の子は控除額が違い、限度額に響きます。
迷ったときに信じる順番
個人の情報を細かく入れた計算ほど信頼できます。
- 源泉徴収票の金額を入れた詳細版(今年の見込みまたは年末調整後の確定値)
- 年収と家族構成だけを入れた簡易版
- 総務省などの早見表(自分の年収に近い行を読む)
早見表の年収は25万円刻みで、2026年分の税制に更新されているとは限りません。
表の2行の間にいるときも、2つ以上の数字が割れたときも、低いほうを採ります。上限を超えた分は控除されず、ただの寄付になるからです。低いほうに合わせて損をするのは、余った枠の分だけです。
源泉徴収票の数字で確かめる手順
詳細版に入れる数字は、源泉徴収票の同じ名前の欄にそのまま書いてあります。年末調整のあと(12月〜翌1月ごろ)に会社から渡されます。
- 「支払金額」:税金や社会保険料を引く前の、1年間の給与・賞与の合計
- 「給与所得控除後の金額」:支払金額から給与所得控除を引いた金額
- 「所得控除額の合計額」:基礎控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除などの合計
複数の会社から給与をもらった年は、それぞれの源泉徴収票の金額を合算して入力します(楽天の詳細版の注意書きによる)。給与所得控除のしくみは、国税庁のNo.1410 給与所得控除で確認できます。
10月時点で源泉徴収票がまだないとき
今年の源泉徴収票は12月以降にしか手元に来ません。今の時期は、次の方法で今年の見込みを作ります。
- 毎月の給与明細の「総支給額」を12か月ぶん足す(通勤手当など、非課税のものが混じるときは課税対象の額で)
- 賞与の見込み額を足す
- 年収の見込みがつかめたら、詳細版の「支払金額」にその数字を入れる
残りの2欄は、昇給や扶養の増減がなければ前年の源泉徴収票の数字で代用できます。
住民税の通知書がある人は、練馬区が案内する計算式で照らし合わせることもできます。ふるさと納税の上限は「住民税所得割額(調整控除後)×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円」で求められます。ただし、通知書の所得割額は前年の所得に対するものなので、今年の収入が前年と近いときに限った確認方法です。
