産休・育休・退職・転職・休職——その年に収入が減った人は、ふるさと納税の限度額も前年とは別物になります。限度額は前年の年収ではなく、その年に実際に働いて得た年収で決まるからです。前年と同じ額を寄付すると、超えた分がまるごと自己負担になることもあります。
なお本記事は、総務省・国税庁が公開している制度情報にもとづく一般的な解説です。個別の限度額を保証するものではないので、実際に寄付する金額は必ずシミュレーターやお住まいの自治体、必要に応じて税理士に確認してください。
💡 制度の基本はふるさと納税とは?、上限の計算式は控除限度額シミュレーターもあわせてどうぞ。
結論:年収が下がると限度額も下がる
ふるさと納税の限度額は、**その年に実際に働いて得た年収(課税所得)**で決まります。年の途中で収入が減れば、限度額も連動して下がります。
| 状況 | 限度額への影響 |
|---|---|
| 1年フルで育休 | 課税所得がほぼ無く、寄付しても控除しきれない |
| 年の途中で育休・退職 | 働いた月数分だけの年収 → 限度額が大きく下がる |
| 年の途中で復職 | 復職後の月数分だけ → 限度額は低め |
⚠️ いちばん多い失敗は「前年の年収で限度額を計算してしまう」こと。年収が下がった年は、必ず今年の見込み年収で計算し直す必要があります。
⚠️ 育休・産休手当は「年収」に含めない
ここが最重要ポイントです。出産手当金・育児休業給付金は非課税で、所得税・住民税の対象になりません。
つまり、ふるさと納税の限度額を決める課税所得には1円も含まれません。
❌ 間違い:給与200万円 + 育休手当150万円 = 350万円で限度額計算
✅ 正しい:課税対象の給与200万円だけで限度額計算
💡 手当を年収に足してしまうと、実際より高い限度額が出て寄付しすぎ → 自己負担増になります。「振り込まれたお金」ではなく「税金がかかる給与」だけで考えましょう。
非課税で限度額に含めないもの:
- 出産手当金(健康保険から)
- 出産育児一時金
- 育児休業給付金(雇用保険から)
- 傷病手当金(休職中に健康保険から)
- 失業給付(基本手当)
パターン別:限度額はこう動く
収入が減った理由によって、限度額の考え方が少しずつ変わります。産休・育休、退職、転職、休職の4パターンで整理します。共通するのは「その年に実際に働いて得た給与だけで計算し直す」という一点です。
産休・育休:働いた月数分だけが限度額
年の前半まで働いて途中から育休に入った年は、その働いた分の給与に応じた限度額があります。下がった年収で再計算すれば、その範囲で寄付できます。たとえば4月まで働いて5月から育休なら、1〜4月の給与だけが計算のもとになります。
一方、1年まるごと育休で課税対象の給与がほぼゼロなら、そもそも控除する税金がありません。この場合は寄付しても自己負担2,000円すら活かせないため、見送るか、ごく少額にとどめるのが安全です。育休手当を年収に足さないことが最大の注意点になります(次の章でくわしく)。
退職:辞めた月までの給与で決まる
年の途中で退職してその後無職なら、退職した月までの給与で限度額が決まります。6月末で辞めれば1〜6月分の給与だけが課税対象になり、フルで1年働いた場合の半分以下に下がることが多いです。
退職金は分離課税で税率も優遇されており、原則としてふるさと納税の限度額には影響しないと考えておくのが無難です。退職で年末調整がない年は、控除を受けるのに確定申告が必要になる場合があります。
転職:前後の給与を合算して計算
転職して間が空かずに働き続けた年は、前職と新しい職場の給与を合算して限度額を計算します。年収がほぼ変わらなければ限度額も大きくは動きませんが、空白期間があって年収が下がった年は、その分だけ限度額も下がります。転職先のボーナスが読めないうちは、確定した給与だけで控えめに見積もるのが安全です。
休職:無給期間があると限度額は下がる
病気やケガ、介護などで休職して無給になった期間がある年は、その分だけ課税対象の給与が減り、限度額も下がります。傷病手当金は非課税で年収に含めないため、給与が支払われていた期間の収入だけで計算し直します。復職して年の後半から働き始めた年も同じ考え方で、働いた月数分の給与が計算のもとになります。




